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<スプリンガーの歴史>
原産国であるイギリスにおけるスプリンガーの歴史は400年程前の記述に遡る。現在10種類近く存在するスパニエル種は当初、ひとまとめで「スパニエル」と呼ばれていた。その後、徐々に異なるタイプのスパニエルが形作られて行く。

現在のスプリンガーは「ノーフォーク・スパニエル」「キング・オブ・スパニエル」などと呼ばれた時期もあった。17世紀、スパニエルを使う猟師達が、そのサイズの違いによって異なる使い方をするようになった。より大きめのスパニエルをSpring Gameに使用し、より小さめのスパニエルをWoodcock(ヤマシギ)の猟に使用するようになった事が、スプリンガーとコッカ―・スパニエルの枝分かれとなる。

陸上で狩猟をする「ランド・スパニエル」の中でもスプリンガーは均整が取れており、強く、頑丈、敏速に動き、良く働くと定義付けられた。その名は’springing’ (飛び立たせる)の言葉から来ており、鳥を飛び立たせ、猟師がその昔は網で捕獲、後に猟銃で仕留める為の役割を担っていた。

1902年KC(イギリスケネルクラブ)がイングリッシュ・スプリンガー・スパニエルを単独の犬種として公認。1920年代に多くのスプリンガーがイギリスから米国とカナダへ輸出され、その中からAKC公認の初の米国チャンピオンが出ている。

現在日本に居るスプリンガーのほとんどは米国から渡って来た血統を持っている。米国においては1927年にESSFTA(イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル・フィールド・トライアル協会)がこの犬種のペアレントクラブとなり、犬種標準を制定し、様々な指針を示している。



 

 

 

 

 

 

<スプリンガーの二つのタイプ>
スプリンガーには「ショータイプ」と「フィールドタイプ」という二つのタイプがある。原産国であるイギリスから米国へ渡ったスプリンガーがショードッグとして、ショーリングでより綺麗に映える美しい姿に出来上がったものが「ショータイプ」であり、鳥猟犬として適した機能を備えたものが「フィールドタイプ」である。外見にはかなりの違いがあり、「ショータイプ」が真っすぐで長い被毛に覆われ、耳の毛も長く、色もブラックやレバーとホワイトの部分がはっきりと分かれているのに対し、「フィールドタイプ」はより短くウエーブのかかったコートで、耳は短くより高い位置に付いている。柄も様々でホワイトの部分が多く、タンのマーキング多い。ショードッグが能力の基準よりは身体的外見に重きを置かれたのに対し、フィールドタイプは猟をするのに最適な鼻、口、気性、マーキング能力、訓練性、頭脳、動きが重要視されて来た結果である。


<犬種標準=スタンダード>
原産国: イギリス
用途:  フラッシングドッグ、レトリーバー
FCI分類:8グループ
(注)日本はFCI加盟国であり、米国は加盟しておりません。
   ここで示すスタンダードはFCIスタンダードを基準としたものです。

一般外貌

均整が取れ、コンパクトで、力強く、陽気で、活動的である。イギリスのランド・スパニエルの中で一番脚が長く、最もレーシーな体躯構成である。

習性・性格
友好的で、明るく、柔順な性格である。臆病なものや攻撃的なものはたいへん好ましくない。

体高

約51cm

毛色
レバー&ホワイト、或いはブラック&ホワイトで、これにタンのマーキングがある場合もある。


中位のアーモンド形で、ダーク・ヘーゼル。瞬膜は見えない。明るい色の目は好ましくない。


目と同じ高さに付き、ロービューラーでかなり長い。


習慣的に断尾する。尾付きは低く、背線より上に掲げられることはない。良く動く。

被毛
密生し、真っ直ぐで、適度な飾り毛がある。

歩様
独自の歩様で、前脚は肩から真直ぐ容易に伸ばす。中足は前脚のラインを追うようにボディの真下を運歩する。




<スプリンガーに多い病気>
PRA(進行性網膜委縮症) 
遺伝性の眼疾患。徐々に網膜が委縮し、最終的には失明する病気。初期症状として夜盲症がみられる場合があり、徐々に昼間でも視覚的な問題が生じて失明に至る。治療法は無く、遺伝性のものであるので、両親犬がPRAであるか否かを知る事が有効である。

CHD(股関節形成不全)
遺伝的疾患。股関節のへこみが浅い骨格で生じ、大腿骨の先端である骨頭が股関節のへこみにしっかりはまらない為に、常に亜脱臼の状態。後足の歩き方や座り方が異常であったり、股関節炎による痛みを伴い、歩行を嫌がるなどの症状が出る。運動のさせ方、生活環境、体重管理が大きく影響する。遺伝性の為、両親犬が股関節形成不全か否かを知る事が有効。

てんかん
脳内に突然異常な電気的興奮が起こり、脳の神経細胞が正常に働かなくなる事で起こる脳疾患。体の一部(手足や顔面など)がけいれんするものから、全身が硬直してけいれんするものまで症状は様々。頻度も月に一度から年に一度まで様々である。血液検査、レントゲン、CT、MRIなどの検査によって発作を引き起こす原因を見つける必要がある。原因特定が出来ないものを特発性てんかんと呼び、遺伝的要素が関係していると言われる。発作を繰り返すたびに、脳の神経細胞のダメージが大きくなり、更なる発作を誘発する為、抗てんかん薬による発作抑制の必要あり。

皮膚疾患
遺伝性皮膚疾患である脂漏性皮膚炎は、皮膚の代謝速度が早まって、上皮細胞や毛包部、皮脂線が増殖過多を起こす皮膚の角化異常症である。脂漏症から細菌やマラセチア酵母菌の二次感染を起こし易い。痒みを伴う症状では他に寄生虫、アレルギーなども考えられる為、血液検査、アレルギー検査、皮膚の組織病理検査などにより病気の特定が必要。垂れ耳であるスプリンガーは耳道内の通気が悪く、細菌や酵母菌の繁殖に適した環境になり易い。耳垢が多く、外耳炎になり易く、独特の臭いを放つ。イヤークリーナーなどで常に清潔にすることと、炎症がある場合には薬が必要。

激怒症候群
先天性の脳疾患で、大人しかった犬が突然激しい攻撃性を示すものであり、てんかんの発作の別の形であるとも言われる。凝視する→唸る→歯を剥きだす→パクっと噛みつく(歯を立てる)→噛む という通常の段階行動を踏まず、威嚇するなどの途中のステップを踏むこと無く、いきなり最終攻撃の噛む、執拗に攻撃する行動に出る。目つきが変わり、瞳孔が開いた状態になる事も特徴である。脳内のセロトニンという脳内刺激伝達物質、つまり脳の興奮を鎮める作用があるこの物質量の低下が強い攻撃性につながるとの研究結果がある。トレーニングによって矯正が望める物では無く、治療法は無い。

 

 

 

 

 

 

 

 



 

 

 

 

 

 

 

 

<犬を飼うということ>
飼い主の責任
子犬を見れば誰しもその可愛さに、飼いたいと思う事だろう。しかし、犬は生き物であり、飼い主としての責任を担う事になる事を十分に理解した上でなければ、飼う事は出来ない。
子犬から飼い始めたとして、そこから10数年という月日を、愛犬と共に過ごす素晴らしい時間があるのと同時に、食費、ワクチン、狂犬病注射、医療費、登録料、トリミングなどの金銭的、時間的責任を負う事になる。そして何よりも途中で投げ出す事は出来ない。

外見の美しさや好みだけで犬種を選ぶのは危険である。自分の生活スタイル、家族構成、飼育環境、全てを考えた上で、相応しい大きさ、相応しい気質、性格の犬種を選ぶべきだろう。

スプリンガーは鳥猟犬であり、概して活発、運動量、トレーニングが必要となる。中型犬で、個体差はあるが、体高は51センチ、牡だと体重は20㌔を超える大きさになる。明るく人間が大好きで、トレーニングの適応能力は高いが、頭が良い分、人間が主導権を握ってしっかりとした躾けが必要不可欠となる。

スプリンガーという犬種の特性を良く理解し、熟考した上で飼う事を決めよう。そして、スプリンガーを飼う事を決断したら、どこから迎え入れるのか、ブリーダー?ペットショップ?里親募集?この判断も慎重に行う。子犬で迎え入れるのであれば、その親犬の性格、既往症、以前に繁殖経験がある親犬であれば、子犬の腹違いの兄弟姉妹犬の性格、既往症など、出来る限りの情報を得よう。それは、より健康で、自分のスタイルに合った犬を迎える事につながるから。

ブリーダーとしての責任
犬の繁殖は「犬種の犬質向上、体質改良を目的として行われるべきものである」とJKCが示す通り、ただこの子の子供が欲しいからと言ったような安易な考えで繁殖してはならない。犬種のスタンダードについて良く理解し、血統内容、犬種のタイプ、性格、何よりも犬種の有する遺伝性疾病について究明し、発症を防ぐ繁殖をしなければならない。そして繁殖は営利目的で行って良い行為ではない。

JKC HPの繁殖に関する頁

https://www.jkc.or.jp/certificates_and_breeding/guidelines/knowledge

「犬種図鑑」のご紹介

2014年、新しい形の犬種図鑑 dogplus.me がインターネット上で刊行されています。

ありきたりの犬種図鑑とは異なり、各犬種の良いところも悪いところも包み隠さず、詳細に説明されています。
検索の仕方も、大型、中型、小型のみならず、毛の長い、短い、番犬に向いている、性格がおおらか、おだやか、マンションで飼えるなど、様々です。又、同サイトにはフード図鑑もあり、これまで比較が難しかった各メーカーのドッグフードに関する詳細情報が掲載された画期的なものとなっています。

今犬を飼っている方、そしてこれから飼おうとしている方に役立つ情報が満載です。
是非活用されることをお薦め致します。

リンク  http://www.dogplus.me/

スプリンガーリンク  http://www.dogplus.me/pets/004/C000474/

小林伸行カメラマン、白石花絵ライターが手掛けられ、犬種図鑑のお写真にはESSCJの会員のワンちゃんが登場しています。

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